
効果的なネット証券
実務上では、この数値を算出するのは非常に複雑で、いくつかの要素が必要になります。
そのひとつは、会社が支払う、借入などの負債に関する平均金利です。
これは、比較的算出が易しいでしょう。
しかし、その他の要素は、会社が直面する「リスクの度合い」によって決められます。
その他の価値評価同様、リスクの推測も得てして主観的にならざるを得ません。
ただし、基本的な考え方はシンプルです。
つまり、リスクが高ければ、 PVは低い、ということです。
一例を挙げましょう。
ここに二つの投資商品があり、どちらも5年で]]円の利益を約束しているとします。
しかし、ひとつは90%の成功確率を持ち、もうひとつは50%しかありません。
あなたならどうしますか?最初の商品を多めに買いませんか?このことは、先ほど出たPVの式からも明白ですね。
i (またはd)が大きくなれば、 PVは小さくなります。
リスクは、会社を取り巻く経済状況や特殊事情で変化します。
数年前、米国における一般的なd数値は、大企業で12%、中小企業は18-20%、スタートアップ企業は25%以上でした。
今日、それぞれの数値は数ポイントずつ変化しています。
小さい変化に見えますが、計算は複利で行われますので、 PVには莫大な差が出 企業評価に熟達した人々は、今まで見てきた全てのアプローチ(アセット、マーケット、 DCF)に際し、加重平均を使います。
加重の手法は、ケースバイケ-スで異なります。
例えば、対象企業が先述の「釣具セット」のような使用されていない資産を大量に保有する場合、マーケットアプローチよりもアセット・アプローチの比重を大きくするかもしれません。
そのような場合でも、通常最も重要とされるのは、 DCFです。
会社を売ったり買ったりする場合の価値を把振するために、皆が骨、こんな複雑な計算を行うのでしょうか?個人的な経験から言わせてもらえば、答えは「NO」です。
その道のプロ達には、企業の売買に際して、受け取る金額や支払う金額に関する事前の「直感的な」腹積もりがあるのが普通です。
そして多くの場合、彼らは、その「直感価額」が合理的であることを示すために、先ほどの手法を駆使するのです。
つまり、適切な「競合」やRやdや、その他の要素を選ぶことにより、自分達がほしい結果を導き出すのです。
それはそれでOKでしょう。
プロの直感や、キャリアで得た知識を基にした判断が、賢明である場合は多いものです。
しかし問題は、これらの華々しい手法が、自己中心的な目的で使われることが多いということです。
具体的には、どうやって判断しているか。
ヒントは世界的コンサルティング会社である、マッキンゼ-・コンサルティングによる企業価値判断のテキストにあります。
このオリジナルは、米国のトップ・ビジネススクールの多くで、教科書となっています。
邦訳版も出版されています。
その本に目を通した私は、ショックを受けました。
そこには、キャッシュなど目に見えるモノの代わりに「バリュー(価値) value」という抽象的な言葉が乱発されていたのです。
章立てのなかには、 「バリュー・マネジャー」や「バリュー創造手法」などといった言葉が続きます。
バリュー、つまり価値の創造。
いかにも理想的なことのように響きますよね?しかし、読み進めるに従って、ここで語られている「バリュー」とは、 「株価」を指し、 「バリュー創造」とは「株価上昇」を指すことが明白になって来ました。
ここで用いられている「バリュー」という言葉は、 1980年代から1990年代に米国を席巻した「株主価値(Shareholder Value)」という理念を反映したメタファーとなっています。
この大波が、ついに日本沿岸に達した、というより、六本木ヒルズに到達した、とでも言いましょうか。
この理念の提案者は、前GE (ゼネラル・エレクトリック)社CEO、J・Wです。
彼は今なお、米国のビジネスパーソンが最も尊敬する人物でもあります。
Wは、彼がCEOに就任した20年間で、 GEの「バリュー」を30倍に上げたヒーローとされています。
ここでの「バリュー」とは、資本市場で計測されるもの、つまり、一株当たり価額を発行済株式数で乗じたものです。
彼の就任期間20年間で、 GEの収益は5倍になったに過ぎません。
では、なぜ「バリュー」がそんなにも上昇したのでしょう?理由のひとつは「効率性」上昇でした。
ウェルチは、 R&D支出を大幅にカットし、 11万人もの従業員を解雇しました。
そして、従業員にサラリーを支払う代わりに、 300億ドル(約3.4兆円)もの資金を使って、GE株の買戻しを行ったのです。
これにより、株価と一株当たり利益が上昇しました。
株式市場の心理的な後押しも、 GEの時価総額押し上げに一役買います。
Wは一連の作業を「長期的バリュー」の創造、と位置付けました。
しかし一方で、自社株価を押し上げる個人的理由も持ち合わせていたのです。
GEの幹部達は、それぞれ大量のストック・オプションを保有していました0 GEを含む何百という企業が影響を受けている、この利益相反の問題については、第29話で詳しくお話しいたします。
長期的な価値創造と謡いながら、 2001年のウェルチ退任後、 GEの株価は米国の主要インデックス以下のパフォーマンスしかあげることができず、ウェルチが手塩にかけた幹部達はGEを見捨てて去っていきました。
そして、彼が解雇した元従業員達は、今でも生活に悪戦苦闘しています。
日本の企業が、この、米国で繰り広げられた「株主価値」という醜く自己中心的な理念に振り回されないことを、願って止みません。
一方で、日本はM&A(企業の買収・合併)との蜜月時代を迎える様相を呈している。
そこはまさに、実務上の価値評価が多数行われている現場でもあります。
ということで、次節M&Aに続きます。
私の住むシリコン・バレーでは、 DVDショップに足を踏み入れると、山と積まれたハリウッド大作映画にまじって、あなたの顔なじみをたくさん見かけることができます。
攻殻機動隊、エヴァンゲリオン、ナウシカ--私の住む場所は、全米アニメ・ブームのいわば「グラウンド・ゼロ」なのです。
もちろん、この地では、日本のアニメシーンのトップを行く最先端の作品を手に入れることは困難です。
しかし、この時差は将来、どんどん短くなっていくことでしょう。
太平洋を挟んで、米国と日本の間では流行が行ったりきたりしますが、その中でも、日本で大ヒットの兆しを見せている、アメリカ発のある流行があります。
ただし、このブームは大人限定です。
そして、それに関しては現段階では日本はアメリカに20年ほど遅れをとっていますが、アニメがそうだったように、そのうち追いつくかもしれません。
ただひとつ確かなことは、それにつぎ込まれる資金量が桁外れなことで、これと比べると、アニメ産業全体がまるで町工場のような規模に見えてしまうほどです。
その流行とは、 M&A、すなわち企業の合併・買収です。
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